Volume#37 Machines for Architecture to Be Lived in

住むための建築のための機械
ジェフリー・イナバ

建築は機械に頼っている。機械は私たちの都市の構造を住みやすいものにする。機械がなければ、建物は水や電力のような基本的なサービスを欠いたままだ。暖房も、冷房も、照明も、防火も、エレベーターも。修復も維持もできなくなる。デジタルコミュニケーションテクノロジーだって言うまでもない。生活をサポートするためのキャパシティはガクンと落ちて、建築はベーシックなシェルターくらいのものになる。

近代の建物は機械なしで機能するようにはつくられていなかった。快適な温度や新鮮な空気といった問題を考えてみよう。フロア、天井、そして外皮だけでは断熱は不十分であり、内部の温度を適切に保つために建物は気候コントロールシステムに頼る。加えて、大規模な構造であったりある程度の占有率を持つものは、レスピレーターのアレンジメントや人間のふるまいに適ったチューブを求める。自然のベンチレーションの援助があっても、外気を機械的に出し入れし、その空間で快適に過ごすことができるよう新鮮な空気を十分に循環させなければならない。機械は建物が温度や空気の流れを十分に制御できないがための埋め合わせをする。機械は住むための建築に従うのだ。 続きを読む

展覧会|C-LAB / Jeffrey Inaba展「What Do Architecture Think Tanks Do?」会場風景

All photos © Shinkenchiku-sha

2011年10月1日から10月27日にかけて、東京は吉岡ライブラリにおいて行われた展覧会「C-LAB / Jeffrey Inaba展「What Do Architecture Think Tanks Do?」の会場風景をお届けします。

本展覧会は「建築シンクタンクとは何か?」をテーマとし、古今東西の建築雑誌約5000冊がアーカイブされた吉岡ライブラリの展示表面をC-LAB/Jeffrey Inaba氏の活動軌跡がハックするという会場構成となりました。積層された知識の層と、新たな知識の生成に焦点を当てる建築シンクタンクC-LABの試みとが並置されています。

なお、本展覧会の関連企画として、10月1日にジェフリー・イナバ氏とアトリエ・ワンのお二人をお招きして「THINK-TALK Event: Jeffrey Inaba x Atelier Bow Wow」が行われました。上記リンク先では当日の映像もご覧いただけます。なお、会場にて配布しましたニュースレターの部分翻訳についてはこちらをどうぞ

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C-LAB / Jeffrey Inaba展News Letter日本語訳

Tokyo News Letter captured
以下は、C-LAB / Jeffrey Inaba展「What Do Architecture Think Tanks Do?」において配布したニュースレター(上写真)の日本語訳です。以下の部分を訳出しています。
・イントロダクション
・「Bond」

・「Leak」
・「Herness」
・「Architect」

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news|THINK-TALK Event: Jeffrey Inaba x Atelier Bow Wow終了しました

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東京は吉岡ライブラリにて10月1日から27日まで開催する展覧会「C-LAB / Jeffrey Inaba: What Do Architecture Think Tanks Do?」の関連イベントとして、会期初日にジェフリー・イナバ氏とアトリエ・ワンのお二人をお招きして「THINK-TALK Event: Jeffrey Inaba x Atelier Bow Wow」を行いました。会場のキャパシティが一杯になる約60人もの方々にお越しいただきました。どうもありがとうございます。

まずイナバさんによるプレゼンは、様々な主体が近年再度都市という物理的環境へ注目しているという状況を具体例とともに示すことでスタート。C-LABの「モデルアーキテクト」として、会議の際のテーブルデザインから米国空軍基地内での建物配置、ならびに政治境界線の引きなおしまで行う、ボスニア戦争時のバルカン問題にアーバニスティックな対処策を提示した米国特使R・ホルブルック氏を紹介しつつ、雑誌「Volume」各号を引きながらC-LABにおけるリサーチ手法の解説へとつながっていきます。都市、建築、社会、文化をめぐって現在どのような知が生成され、どのようにそれがやりとりされているのかに焦点を置くC-LABにとって、重要なのは「コミュニケーション」という問題であることが確認され、それを軸にC-LABによる最近の仕事、例えば「new museum」のホールデザインや、イナバさんによる最近の著作『World of Giving』で提示された「Aid capital」なる概念の紹介へ。最後に雑誌「Volume」の最新刊29号の紹介とともに約40分のプレゼンテーションは終了しました。

一方後半のトークでは、アトリエ・ワンさんによるイナバさんプレゼンテーションの補足・確認から、双方でのリサーチにおける共通点のお話、そして「知のやりとり knowledge transmission」はどこでどのように起こっているか、というイナバさんによる問いかけを起点にした原発問題に関するお話まで、話題は多岐にわたっています。宮下公園の改修プロジェクト、ならびに北本でのまちづくりといった最近のアトリエ・ワンさんのご活動も、「七人の侍」を比喩に(!)提示されています。リソースは削減し、でもアイデアの集約はある、という今後の状況で「建築シンクタンク」なるものはどうあるべきか、に関するイントロダクションとして素晴らしいトークを行っていただきました。

基本的には英語でお話いただいていますが、要所要所で日本語解説が入っておりますのでぜひ一度ご覧いただけたらと思います。

RAD/S

展覧会|C-LAB / Jeffrey Inaba展「What Do Architecture Think Tanks Do?」終了

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レム・コールハースによって設立されたシンクタンク「AMO」のプリンシパルを務めたジェフリー・イナバ氏は、現在、建築シンクタンク「C-LAB:  Columbia Laboratory for Architectural Broadcasting」のディレクターとして都市や建築に関する実験的なリサーチ活動を行い、一方で自身の建築組織「INABA」を率いて、リサーチ活動から得られた知見を利用しつつより実践的な試みを行っています。
今回、東京は吉岡ライブラリにて開催する展覧会「C-LAB / Jeffrey Inaba: What Do Architecture Think Tanks Do?」では、これまでのC-LABの活動を紹介しつつ、建築リサーチとは何か?、そしてそれが将来の計画にどのような寄与をなすのか? をテーマとします。古今東西の建築雑誌約5000冊がアーカイブされた吉岡ライブラリの展示表面をC-LABの活動軌跡がハックします。積層された知識の層と、新たな知識の生成に焦点を当てるC-LABの試みとの並置をお楽しみいただけたらと思います。
また、関連イベントでは、ジェフリー・イナバ氏とアトリエ・ワンのお二人をお招きして、本展覧会の目指すところについてお話をしていただこうと思います。

C-LAB / Jeffrey Inaba: What Do Architecture Think Tanks Do?

会期 10月1日 (土)- 10月27日(木)(水 – 土のみ開館)終了しました

時間 13:30 – 19:00 (水、木、金), 11:00 – 18:00(土)

会場 吉岡ライブラリー( 東京都文京区湯島2-31-2 株式会社新建築社内)

主催 財団法人吉岡文庫育英会 

企画協力 RAD- Research for Architectural Domain

入場無料


オープニング・イベント

THINK-TALK Event: Jeffrey Inaba x Atelier Bow Wow

日時 10月1日(土) 14:00 – 16:00 終了しました

出演 ジェフリーイナバ、アトリエワン

会場 吉岡ライブラリー( 東京都文京区湯島2-31-2 株式会社新建築社内)

入場無料

レセプションパーティ(講演会終了後)

日時 16:00 – 18:00 終了しました

当日先着順 入場無料

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Volume#24 Editorial

エディトリアル
ジェフリー・イナバ(Jeffrey Inaba)

近年のアメリカではストリートに出て抗議したり、クスリをキメたりするような人はほとんどいない。今となっては、ヒッピージェネレーションが持っていた社会的理念の多くはメインストリームとなっている。60年代のオルタナティヴな価値がもたらした今にいたる影響の中で最もセレブレートされた例は、技術の世界において見ることができる。メディア歴史学者フレッド・ターナー(Fred Turner)は、彼の著書『カウンターカルチャーからサイバーカルチャーまで』において、60年代の重要人物が集結したあるグループについて書いている。彼らは、よく知られたストーリーが私たちに伝えるような脅威や手の届かない「支配者層」への反抗はしなかったのだが、兵器産業複合体のなかで発展してきた防衛技術に対する、パッと見矛盾するような関心を持っている。ターナーは、スチュワート・ブランド(Stewart Brand)らによって喚起された、知へのアクセスを要求するというカウンターカルチャーの反響は、ウェブを大衆化し情報によって成長する社会へのシフトを起こす、パーソナルコンピュータープロダクトやネットワークツールの発展に影響を与えたと見ている。

現在のアメリカ文化をざっと眺めたときにそうした60年代に関する暗示と見えるものは、今も昔も、コンピューター技術、自然環境、そしてコミュニティのオルタナティヴな形に対する強い関心だ。しかし今日そのどれもがラディカルな政治的行動や初期の反抗的イデオロギーからは断絶している。例えば、地球への関心などは当てにならない、気まぐれな、運頼みくらいのものだったはずなのだが、カウンターカルチャーとアメリカで現在一般的になっている意見との間にイデオロギー的な差異はあるにもかかわらず、現在では大多数の人々に共有されている。サステナビリティは、かつてエンターテイメント的環境保護の姿勢へと熱烈に反発した事業部門ー不動産開発だとか—にもその重要さが引きあいに出されるほど、私たちの集団的経済意識の一部になっている。同じように、カウンターカルチャーの社会的原理—参加、情報共有、より一層の社会的包摂(ソーシャル・インクルージョン)、そして共同のために他者と結ぶ賛同ベースのネットワークやその識別可能な範囲ーは現在の社会資本を打ち建てるための基本的公理なのだ。

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